人生における"成功"の定義とは
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人生における"成功"の定義は人それぞれだが、敢えてそれを一般的に定義するとしたらどういう表現が相応しいでしょうか?
村上龍の「生活費と充実感を保証する仕事を持ち、かつ信頼できる小さな共同体を持っている人」という定義がしっくりきたので以下に引用します。
人生の成功者というのは、その人の人生における目標を達成した人、という言い方ができるかもしれない。では人生における目標とは何かというと、それは、とりあえず生活に困らない程度の生活費を稼ぐことができて、かつ充実感のある仕事を持っていることだと思う。
しかし、生活費と充実感だけでは何課足りない気がする。人間は一人だけでは生きていくわけではないからだ。今までの常識だと、温かで幸福な家族・家庭、ということになるのかも知れない。だが、家族に限定するのはリスクがあるし、家族を絶対視するのも無理がある。現代の核家族は近代化・高度成長の産業形態の要請により、農業村から都市部への労働力移動によって必然的に構成されていったもので、今後家族のあり方が変化することが予想されるからだ。
必要なのは、お互いに信頼できて、相談できて、しかもその中で癒される小さな共同体、のようなものではないだろうか。それは結婚という形を取らずに共に生きる男女かも知れないし、たとえばNPOなどで共に活動した仲間かもしれないし、昔からの友人同士かもしれない。
人生の成功者というのは、「生活費と充実感を保証する仕事を持ち、かつ信頼できる小さな共同体を持っている人」という仮説を立ててみたい。
—村上龍 著『人生における成功者の定義と条件』より引用