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期待は甘えとほとんど同義語だ

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自分はこれだけのレベルの仕事をする、とわたしは作品を通じて常に宣言している。編集者や出版社、それに読者の信頼を失うわけにはいかないので、売れるかどうか、大勢に読まれるかどうかは別にして、質の高い作品を書き続けなければならない。期待なんかされたくない。

今の日本では、期待は甘えとほとんど同義語だ。読者から「期待してます。がんばってください」と言われたりすると、うれしいが、わたしはがんばったりしないし、期待に応えようとも思わない。質の高い作品を書くだけだ。

わたしは他人にも期待しない。たとえば芥川賞の選考会で、わたしが推した作品が受賞したとする。新聞記者は「今後にどんな期待をしていますか」と聞いたりするが、他人には期待しませんと答える。新人作家に何を期待すればいいというのだろうか。強く美しい作品を書き続ければサバイバルするだろうし、ダメになっていく作家もいるだろう。

G2010という電子書籍の会社を作ったが、わたしはスタッフに期待などしない。実現すると約束したことを、淡々とやってもらえればそれで十分だ。がんばる必要もない。単に、実現すればいいのだ。

村上龍『櫻の木の下には瓦礫が埋まっている。』より引用

 

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