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平成30年の終わりに孫さんの「30年ビジョン」を読み返してみました

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もうすぐ平成30年が終わるから、という理由ではないのですが、久々に孫さんの「30年ビジョン」を読み返しました。改めて読んでみると含蓄に富んでいて、孫さんの先見の明に舌を巻きました。

その一部をかいつまんで、以下にまとめたいと思います。

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出所:ソフトバンク「新30年ビジョン」

新30年ビジョンサマリ(人生最大の不幸/幸福に関する箇所)

人生最大の不幸は"孤独"

孫さんが2010年にツイッターでアンケートを行ったところ、人生で最も悲しいことは上から順に「身近な人の死」、「孤独」、「絶望」が過半数以上を占めたそうです。

「身近な人の死」のほとんどは病気によってもたらされ*1、日本における一人暮らし高齢者数は2040年には800万人に到達し、日本の自殺者数も2009年は3.2万人にものぼったといいます。

そしてこれらの共通することは「孤独」であるため、人生最大の悲しみは"孤独"であるといいます。

人生最大の幸せは"感動"

一方、同様に人生で最も幸せを感じることについて聞いたところ、「日々生きていること」、「自己実現」、「愛し愛されること」、「必要とされること」、「笑顔」が過半数を占める結果になったようです。

そしてこれらに共通することは「見る感動」、「学ぶ感動」、「愛し合う感動」、「出合う感動」、「遊ぶ感動」といった"感動"であるため、人生最大の幸せは”感動”であるといいます。

技術/情報などによる"孤独"の軽減

国連の発表によると、日本の平均寿命は83歳*2でありますが、ソフトバンクの試算によると2300年以後はその平均寿命が200歳まで伸びるといいます。そしてそれを可能にする一つの要因がDNA治療であったり人工臓器の一般化であったりするとのことです。

その他にも自然災害/テロ/未知のウィルス/隕石によってもたらされる"孤独"も、新たな技術や情報によって軽減されるといいます。

技術/情報などによる"感動"の進化

あらゆる"感動"も技術や情報によって進化するといいます。例えば「見る感動」、「学ぶ感動」、「出会う感動」、「遊ぶ感動」はVR技術やAR技術などによって進化するといいます。

具体的な例を挙げると、「見る感動」では「VR観光」、「学ぶ感動」では「VR電子教科書」、「出会う感動」では「VRで出会える」ようになり、更にその先には「ARで触れ合える」ようになり、「遊ぶ感動」では「VRゲーム」や「ARゲーム」などの進化が挙げられます。

 

まとめ

世界の人々から最も必要とされる企業

孫さんのプレゼンによると、過去の世界時価総額トップ10は「その時代に人々が最も必要とした会社、最も必要な資源を提供した会社がランクインしている」といいます。

これを見ると1900年頃は鉄道会社が人々に必要とされ、2010年は石油会社が人々に必要とされていたことが分かります。

そしてダイヤモンドオンラインの時価総額ランキングを見ると、2018年現在はインターネット関連企業が人々に必要とされていることが分かります。

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出所:ソフトバンク「新30年ビジョン」

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出所:週刊ダイヤモンド「昭和という『レガシー』を引きずった平成30年間の経済停滞を振り返る」

「データで見ると、世界は良くなっているのか、悪くなっているのか?」

さて、時代とともに移り変わっていく「人々に必要とされるもの」ですが、なぜそういったことが起こるのでしょうか。

その解の一つが「世界は成熟していくから」だと思います。

ビル・ゲイツが「大好きな著者」として名前を挙げる心理学者のスティーヴン・ピンカーも、2018年のTEDで興味深いスピーチを行っています。

それは「過去と比較して世界は良くなっているのか?」というテーマのスピーチで、同じ物差し(統計データ)で過去と現在を定量的に比較し、その進退具合を客観的に分析するといったものです。

同氏はスピーチの中で以下のように語っています。

様々な見解の違いはあれ、幸せの要素が何かについての人々の意見は概ね一致しているものです。

    寿命、健康、暮らし、繁栄 平和、自由、安全、知識 余暇、幸福感。

これらのものはどれも数字で表せます。時と共にその数値が上昇していれば、進歩していると言えるでしょう。

そして実際にそれらのデータを検証してみると、世界で「健康」、「富」、「安全」、「知識」、「余暇」といったものが改善されたことで、この数十年の間に86%の国で幸福度が高まったといいます。

と同時に、これらはいずれも封建制度や教育制度の進化、技術や情報の進化によってもたらされたものであると言えると思います。

TED - "Is the world better better or worse? A look at the numbers"(「データで見ると、世界は良くなっているのか、悪くなっているのか?」)

www.ted.com

いつの時代も前進のモチベーションは「幸せの追求」と「不幸の軽減」

世界の時価総額ランキングの移り変わりや、スティーヴン・ピンカーのスピーチを見ると、いつの時代もその根底にあるモチベーションは「幸せの追求(≒感動の追求)」と「不幸の軽減(≒孤独の軽減)」だということが分かります。

2018年はAI、ブロックチェーン、ドローンなどの新技術が話題になりました。これらの技術がどのようにして「幸せの追求」や「不幸の軽減」に活かされ、更には「世界の人々から最も必要とされる企業」の様相が今後どのように変化していくのか、大変興味深いと思う年の瀬です。

*1:世界の死亡要因ランキング, 2008年

*2:World Population Prospect, 2008年

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